little star's memory

競プロ、なぞなぞ、その他

週記 ~渓壑~ (2024/03/25-2024/03/31)

ホッブズによる言葉「万人の万人に対する闘争」はよく知られている。自然状態では誰もが自己保身のために闘争するという言葉だ。争いを避けるために国家が必要だと言われている。しかし現代を見ると、国家が存在するせいで争いが起きているようにも感じられる。ホッブズの言葉は本当に正しいのだろうか。現代日本でも、普段は礼儀正しいはずの日本人も避難所では喧嘩や盗みなどを行っていたらしい。これが自然状態なのだろうか。個人的な感覚では、避難所生活は特殊な状況だと感じる。ホッブズの生きた時代も、避難所生活も豊かでなかったのかもしれない。豊かな状態なら万人の万人に対する闘争は発生しないのではないだろうか。それとも渓壑の欲というように人間の欲望には限りがないのだろうか。とにかく、ホッブズの言葉や国家の存在の意味をよく考えた方がよさそう。

続きを読む

花鶏と鬱金香

放課後、帰ろうとしていると同級生の花鶏が近づいてきた。

「この後大丈夫?一緒に行きたいところがあるんだ」

僕は花鶏と一緒に下校することになった。

どこに行くのか聞いてみたけど、着いてからのお楽しみとしか答えてくれなかった。

しばらく歩くと、小さな公園に到着した。花鶏は立ち止まる。そこには綺麗な花壇があった。

「これだよ」

チューリップが視界に入った。自然の好きな花鶏は気に入りそうな景色だ。

「花は見た目だけじゃなくて、香りもいいみたい。だから昔から詩の題材になってきた」

そういうと花鶏は花に近づいて、香りを嗅ぎ始めた。

「なるほど……」

何かがわかったらしい。

「チューリップ。漢字で書くと鬱金香。とある漢詩鬱金香の香りが詠まれてて、実際に体験してみたかった。といってもこの詩の鬱金香がチューリップなのかまではわからなかったけど」

そして花鶏は目を閉じて、そっとつぶやく。

「蘭陵美酒鬱金香、玉碗盛来琥珀光」

漢詩の一節だろうか。やがて花鶏は目を開けてこう語った。

「蘭陵の美酒は鬱金香の香り。美しい杯に盛れば琥珀色の輝き。鬱金香と琥珀光で韻を踏んでるのもいいし、嗅覚・視覚にそれぞれ訴えかけてくるのもいい」

他にもこの漢詩についていろいろ教えてもらった。

「これだけ美味しそうにお酒のことが詠まれたら、私も飲んでみたくなっちゃう」

また飲酒の話題だ。前も漢詩の影響でお酒に興味を持っていたような。

鬱金香の香りのお酒、気になるな……」

勿論お酒は20歳になってから、と最後に付け加えていた。

こうして僕たちは別々の帰り道へ。

ちなみに、花の香りを嗅ぐことを勧められたけど、恥ずかしいのでしなかった。

柏宮花鶏について

柏宮花鶏はオリジナルキャラクターです。詳しい設定はこちらにあります。

koboshi-kyopro.hatenablog.com