GW (ゴールデンウィーク) なので GW (グロモフ・ウィッテン) 不変量を勉強します。
まずは筆者のスペック紹介から。
というわけで、数学の素人ではないですが、代数幾何の素人ではあります。そんな筆者がGW不変量を理解できるのか?という挑戦記録です。(というかGW不変量は代数幾何で合ってるよね?)
一応の目標は、組合せ論とGW不変量が関係する部分を理解することとします。
4/27 (1日目)
読んだ (眺めた) 文献を書いていく。
Renzo Cavalieri, Fock Spaces and Tropical Curve Counting
3つのレクチャーからなる。Lecture 1はボゾン・フェルミオン対応について書いてあり、昔読んだ。Lecture 2ではOkounkov-PandharipandeによるGW/H対応について書かれている。HはHurwitz数で、リーマン面上の解析関数やモノドロミー表現やある種のグラフと関係があるらしい。GWとHの定義も書いてあるけど当然何もわからない。リーマン面について勉強した方がいい感じかな?
Okounkov-PandharipandeのGW/H対応の論文は大学院生のころに読んだ論文にも参考文献として挙げられていた。気になる。
Jonah Blasiak, Jennifer Morse, Anna Pun, Daniel Summers. k-Schur expansions of Catalan functions
目標のところにGW不変量と組合せ論の関係を理解すると書いたが、この論文にあるような話が気になっている。2つのSchur関数の積のSchur展開はLittlewood-Richardson係数であることは有名だが、2つのk-Schur関数の積のk-Schur展開がGW不変量と関係があるらしい。正確には種数0の3点GW不変量?
GW不変量は一般の多様体で定義されるみたいだけど、ここで出てくるのは旗多様体だけかな?それならGW不変量の理解は簡単になるかもしれない。
調べてみたら『Schubert多項式とその仲間たち』に旗多様体の量子コホモロジーとGW不変量の話があった。
感想
とりあえず種数0の3点GW不変量を理解することを目指すのがよさそうと思った。旗多様体のコホモロジー・量子コホモロジーを勉強しよう。
4/28 (2日目)
Anders Skovsted Buch, Mutations of puzzles and equivariant cohomology of two-step flag varieties
この論文にはGW不変量の詳しい話はなかった。同変GW不変量というものもあるらしい。
感想
今日は他のことをしていたのでGW不変量の勉強は進まなかった。
4/29 (3日目)
Simon C. F. Rose, Introduction to Gromov-Witten theory
入門によさそうと思って読み始めた。曲線の数え上げからGW不変量を考える。でも何をやっているのかわからない。モジュライという概念が重要そう。モジュライって何だ?
感想
旗多様体のコホモロジーを勉強しようとしたが、想像以上に幾何学の知識が足りないことに気づく。
4/30 (4日目)
この日は幾何学の基礎を勉強しつつ、旗多様体のコホモロジーについて調べていた。シューベルト多項式とか余不変式環が登場した。
5/1 (5日目)
LUC LAPOINTE AND JENNIFER MORSE, QUANTUM COHOMOLOGY AND THE k-SCHUR BASIS
眺めていたけど眠くなって寝てしまった。Hecke algebraも知る必要がある?
手元にあるHecke algebraの本にはこの辺の話は無さそうだった。勿論面白そうだけど。
感想
飽きてきた感じがある……。
GW/H対応のことを上で書いたけど、Hurwitz理論の本を昔入手したのだった。読んでみようかな。
GW,Hの他にPT,DTもあるらしい。いろいろある。
フルトンのヤングタブローにも知りたい話があるようだ。付録には基礎も書いてあり、読んだほうがよさそう。
5/2 (6日目)
IZZET COSKUN, A LITTLEWOOD-RICHARDSON RULE FOR TWO-STEP FLAG VARIETIES
Mondrian tableauxという図形が出てきて面白そう、と思ってずっと前に保存していたけど、GW不変量の話もあることに気づいた。読みたい。
感想
量子シューベルト多項式の計算からGW不変量がわかるのは面白そうだと思った。ところで、k-Schur関数の計算からもGW不変量がわかるのであれば、この2つに関係はあったりしないだろうか。
5/3 (7日目)
なし
5/4 (8日目)
Ionut¸ Ciocan-Fontanine, QUANTUM COHOMOLOGY OF FLAG VARIETIES
を読もうとしたけど読まなかった。
5/5 (9日目)
Yefeng Shen and Jie Zhou, Ramanujan identities and quasi-modularity in Gromov-Witten theory
GW不変量と組合せ論の関係に興味を持っていたけど、数論にも関係があるらしい。
5/6 (10日目)
FIROOZEH AGA AND JANKO B¨OHM AND ALAIN HOFFMANN AND HANNAH MARKWIG AND ALI TRAORE, ALGORITHMS FOR GROMOV-WITTEN INVARIANTS OF ELLIPTIC CURVES
アルゴリズムという部分に惹かれた。
SERGEY FOMIN, LECTURE NOTES ON QUANTUM COHOMOLOGY OF THE FLAG MANIFOLD
入門向け。旗多様体の量子コホモロジーや量子シューベルト多項式について書いてある。でもGW不変量についての説明はない。『Schubert多項式とその仲間たち』と流れが似ている気がする。
グレブナー基底というワードも出てきた。
検証結果
10日間のGWが終わったので、結果発表です。
GW不変量が難しいという面も勿論ありますが、それ以上に怠惰でした。もっと頑張れるかと思ったんですけどねえ。
というわけで、来年のGWにリベンジするかもしれませんし、しないかもしれません。明日からは大好きな組合せ論の学習に戻ります。