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競プロの参加記など

Steinberg, Representation Theory of Finite Groups - An Introductory Approach を読んだ

競技プログラミングをおやすみしている間に、代わりに数学のお勉強をしていました。たいてい数学の本は最後まで読めないことが多いのですが、今回は珍しく最後まで読めたので感想を書いていきたいと思います。

読んだ本は、Benjamin Steinberg: Representation Theory of Finite Groups - An Introductory Approach という本です。有限群の表現論に関する基礎的なことがまとめられています。

ちゃんとした書評は以下にあります。

www.jstage.jst.go.jp

有限群の表現論とは、有限群の特徴を線形代数を用いて調べる分野です。このため、線形代数群論はこの本を読むために必要です。

まず2章で線形代数の復習が行われます。3章は表現の定義から始まります。ここで重要な定理は、有限群の表現があるユニタリ表現と同値であることと、マシュケの定理です。

4章では指標理論が展開されます。Schurの補題や直交関係式などの重要な結果が出てきます。既約指標というものを用いて、表現の既約表現への分解が一意であることが示されます。すごいと思いました。

5章はフーリエ解析で、ここが読みたくて読み始めました (競プロでもフーリエ変換が出るので)。フーリエ変換を考えるときに1のN乗根が出るのはなぜ、と思っていましたが、表現論の立場からはN次巡回群の既約指標だから、と答えられそうです。アーベル群の場合は環L(G)は $\mathbb{C} ^ n$ (各点積) と同型ですが、これを非アーベル群の場合に一般化すると行列環の直積が現れます。これがWedderburnの定理です。

6章はバーンサイドの定理 (位数 $p ^ a q ^ b$ の群は可解) の証明です。結果自体は有名な気がしますが、証明を見るのは初めてでした。代数的整数とかガロア理論とか出てきて面白かったです。

7章は置換表現にまつわる話です。バーンサイド補題も出てきます。ここを読んでいるときにちょうどバーンサイド補題が話題になっていたので、勢いで記事にしました。

koboshi-kyopro.hatenablog.com

8章は部分群の表現から元の群の表現を作る誘導表現のお話です。とあるフーリエ変換の記事に誘導表現と書かれていたのでこれも知りたかったことでした。

9章では実既約指標の数が実共役類の数と等しいことを証明します。

10章は対称群の表現論です。既約表現の数と共役類の数は等しく、対称群の共役類の数は分割の個数と等しいです。ここでは、分割と対称群の既約表現を一対一に対応させるのが目標です。ポリタブロイドというものを考えてSpecht表現を作ると既約表現ができます。内容は必要最低限という感じでした。奥が深そうな分野なので、他の本で対称群の表現論をもっと知りたいところです。

(よく見たら、11章まであるらしい。ネットに落ちてたPDFだと10章までだったから最後まで読んだと勘違いしてしまった。まぁいいか!)

行間はかなり少なく感じました。表現論が初めてという人でも難なく読めると思います。おすすめです。